カワイイの定義とは何か?

2023/5/24の課題


 「かわいい」。それは日本国内だけでなく、今ではアメリカでも通じる言葉です。私たちも日常生活で使わない日はないくらいに馴染み深い単語ですね。

 今回の課題ではそんなかわいいの定義を求め、かわいいを理論化して抽出することが目的です。



 さて、前述したとおり「かわいい」は今や国外の方にも親しみのある単語になりましたが、その「かわいい」の代名詞としてサンリオキャラクターであるキティちゃんが、アメリカで非常に人気のあるキャラクターになっています。

 そこで、グローバルに認知されているかわいさを持つキティちゃんを生み出したサンリオこそ、かわいいの何たるかを一番理解しているのでは? と考えました。

 さっそく、各サンリオキャラクターの共通点を探すべく公式HPにアクセスします。





 サンリオの歴史は長く、一番初めに誕生したキャラクターは1973年の「コロちゃん」。サンリオの顔とも言えるキティちゃんは、翌年の1974年に誕生したキャラクターのようです。

 ちなみに一番新しいキャラクターはあのAdoさんとコラボして生まれた「アドローザトルマティ」で、Adoさんらしいゴシックな雰囲気と青薔薇がモチーフになっている猫ちゃん。ふさふさの毛並みが愛らしいですね。



 450を超えるサンリオキャラクターに全て目を通していくと、共通点とある変化を見つけたので、まとめると同時にそのデザインがもたらすかわいさについて考察していきます。




1.口のない、もしくは目立たないキャラクター


 キティちゃんやポチャッコのように口が完全に描かれていない。もしくはリトルツインスターズやこぎみゅんのように描かれていても点だったり小さく描写されているキャラクターが多く目につきました。

 逆に口だけ描かれているキャラクター「歯ぐるまんすたいる」もいましたが、そのデザインはこのキャラクターのみでした。

 これは、われわれ日本人特有の感情の読み取り方が影響していると考えました。

 日本と欧米では顔文字の向きが違っているというのは有名ですが、日本のものは目で感情を表現するものが多く、欧米のものは口の形で感情を表現しているのは知っていますか?

 比較してみると、その差がわかりやすいと思います。

 

<日本> (^^) (*_*) (>_<)(*_*)(+_+)(@_@)

<海外> : )  :(   :-o   :)))))   :_( 「涙」 :-C 「不機嫌」


 口は、顔のなかでも筋肉の動きも大きく、目立ちやすいパーツです。

 自分の感情をストレートに表現する欧米の人々は、口はもっとも感情が現れやすいパーツとなるので、相手の表情を見るときは口に注意が向かいます。

 反対に自己主張を控える日本人は、コントロールが難しい目に注意することで相手の微妙な感情の変化を探ろうとする性質が備わったと言われています。

 このことから、私たちはかわいいキャラクターを考える際に目を重要視したデザインを取り、その控えめな感情表現にかわいらしさを感じるのだと考えました。




2.つぶらな瞳


 円、もしくはアーモンド型に近い形の大きな目をしたキャラクターが多いことに気が付きました。また、その多くが黒目がちで、白目はデザインされていないキャラクターの方が多いです。

 確かに、私もチワワのかわいいクリクリお目目が角度によって白目がぎょろりと見えることに気が付いた時、怖いな。あんまりかわいくないな。と思ったので、かわいいと白目は少し離れた場所に位置するのではないでしょうか。

 白目が描写されているキャラクターもいましたが、その場合黒目は小さく描かれていたので、白目と黒目のかわいいと思える黄金比があるような気がします。





3.丸みを帯びた体


 体が角ばっていたり、キャラクターのモチーフが無機物である場合を除けば、直線で描かれたキャラクターはいませんでした。頬がふっくらとしていたり、丸みで構成されているキャラクターが多く見受けられます。

 これは球体の与える安心感や視認性の高さが影響しているのでは、と考えました。


 ビジュアル認知の脳科学でも『鋭角の長方形は同じ大きさの楕円より認知するのに努力を必要とする。』と言われているように、人間の目は円形のものをより速く捉えることができる事ができ、その際に生じる脳の刺激は小さいものだそうです。

 そのため人間は丸いものに安心感を覚えたり、かわいいな、と思うのではないでしょうか。





4.低い等身


 サンリオのキャラクターはみんな等身が低く、中には一等身のキャラクターもいました。

 これも本能的なものですが、人間に一番身近な等身も低い生き物といえば赤ちゃんが思いつきます。非力な存在の赤ちゃんが自分を守ってもらうために庇護欲を駆り立てられるような振る舞いを生まれた時から身につけているのと同時に、私たちも赤ちゃんを守りたくなるように、あの形状を本能的に「かわいい」と認識しているのではないでしょうか。

 赤ちゃんを可愛いと感じる本能の部分で、低い等身のキャラクターを可愛いと感じるのではないでしょうか。




5.淡い色使い


 サンリオキャラクターにもパステルカラーを使ったキャラクターが何人もいますが、特に白色を主色に取り入れたキャラクターが目につきました。

 どこか儚げでふんわりとした優しいイメージを与えるパステルカラーや白色には、みる人に安心感を与えるのだと思います。





6.顔の造形


 サンリオキャラクターの多くは頭が大きく描かれており、その顔のパーツは中央、もしくは下部に寄っています。例えばマイメロディやシナモロール、KIRIMIちゃん.なんかがそうですね。

 これも本能に訴えるかわいらしさで、前述した赤ちゃんも同じ特徴を持っています。赤ちゃんの顔が可愛いのではなくて、赤ちゃんの顔を可愛いと思うために、あの赤ちゃんの顔をかわいいと感じるようになったのではないかと思います。

 そのため、赤ちゃんの顔の造形に似たそれらのキャラクターをかわいいと思うのではないでしょうか。






まとめ


 以上が、私が見つけたサンリオキャラクターの多くに共通する「かわいらしさ」です。この特徴はサンリオキャラクター以外の動物やキャラクターにも当てはまりますね。

 そして、なぜそれがかわいいと感じる理由になるのかと考えた時、赤ちゃんと同じ要素だからという結論に至ることが多くありました。私たちは「かわいい」を理由や理屈ではなく、本能的なところで感じとっているのかもしれません。









おまけ

 私もこれらを踏まえてオリジナルのかわいいキャラクターを作ってみました。



 名前は「いせなン」です。「せんない」という単語のアナグラムで、意味はこんな感じ。



 キャラクターの見た目はすぐに出来上がったのですが、せっかくなので設定もつけてあげようと思います。かわいさとは見た目だけではなく、立ち振る舞いや境遇にもかわいさが滲み出るものだと思いました。

 最近では「かわいそうはかわいい」「不憫かわいい」とも言われるようになってきたので、その辺りから着想を得ました。以下、設定です。


・その辺にいる不思議な生き物。体高20cmほど

・んぇ… ぷぇ… って鳴く

・大きな腕に比べて足は非常に小さく、狩りの際はその腕が邪魔してうまく走れない

・狩りが上手ではなくすぐに死んでしまうので、一度の産卵で1000~5000匹ほど産まれる

 しかし生き残れるのは10匹程度

・体温調節のため、常に小刻みに震えている

・基本的に無抵抗で鈍感。体も丈夫なので、ちょっと踏んだり乱暴にしたくらいでは怪我をしない。

・見た目はかわいらしく、実際弱々しい生き物なので自然発生しても「元気に育つんだよ…」と放置されがちだが、一度繁殖するととことん増えるので駆除対象

・するめの干物などを体表に置いておくと、5時間くらいかけて溶かして吸収するように食べる

・栄養価が高く、繁殖力もあり安価に飼育できるので家畜の餌として採用されている



感想

 かわいいよりもかわいそうの方が強くなっちゃった






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