デザインの基礎で遊んでみた
大多数の人間が初めてデザインや絵について真面目に向き合った機会というのは、おそらく中学や高校の美術の授業ではないでしょうか。
小学生のときにも図画工作という授業はありましたが、あれは手を動かして作品を作り上げる達成感なんかを得るための経験を積ませることが目的だったような気がします。
一転、中学に入学した時から図画工作は美術へと名前を変え、私たちはそこで初めて美術のテストのために繰り返し教科書を読み直し、必死に暗記したのではないでしょうか。
そこで学んだ単語として「アクセント」があります。デザインだけではなく、趣味のイラストなんかにも応用の効く技法なのでなんとなく覚えていましたが、今回はこれをメインとしたイラストを制作してみたいと思います。
まずは「アクセント」が意味する技法について簡単に振り返ってみました。
アクセント
主調色(メインの色)で統一された中に、一つだけ異なる性質の色を置くことをアクセントカラーと言います。画面を引き締め、そこを目立たせる効果があります。
身近なもので例えると、Amazonのロゴの矢印なんかがそうでしょうか。
アクセントの技法を使うには、規則正しく並んだものの中に一つだけ違うものが紛れ込んだイラストを描く必要があるようです。そもそも日常生活でずらりと並んだものを見る機会なんて…と思いましたが、三角コーンが思いつきました。あまり三角コーンが一つだけ置いてあるのって見かけませんよね。
題材が決まったので、とりあえずイメージがわかりやすいように三角コーンを並べてみました。斜めにしたのは、枠と並行になるよりも動きや広さが出るかな、と思ったからです。
これを描くために三角コーンについて色々と調べてみたのですが、一口に三角コーンといっても柄やサイズに細かく違いがあるみたいです。用途別に違っているというよりは、環境やメーカーによる違いに思えます。
一先ず「斜めの構図に全て斜線模様のカラーコーンはクドい」ということがわかったので、後で修正しておきます。いきなりぶっつけ本番で描くよりもラフを作った方が良いというのはこういった知見が得られるからですね。見えない積み重ねも大切な作業です。
微調整を繰り返してラフその2が出来上がりました。
アクセントとして、黄色と黒のカラーコーンを一つ置くことにします。結構いい感じでは?
…と思ったのですが、如何せん配色の気持ち悪さが目立ちますね。それぞれの色はいい感じなのですが、全体で見ると違和感があります。背景のくすんだオシャレなピンクに比べて、三角コーンの色が元気すぎることに問題があるのではないでしょうか。
私はとにかく配色が苦手で、せっかく良い絵が描けたと思っても、今回のようにメインと背景の色がうまく馴染まずに何時間も消費してしまうという悪癖があります。
……そこで、AIの力を利用することにしました。
本当にめちゃくちゃ嫌なんですけど、これからデザイナーとして生きていこうと思っている上でAIというのは絶対にぶち当たる大きな壁だと思います。仕事は奪われそうだし、そうでなくとも色々と著作権で面倒くさいことになっているAIですが、話題になった当初は「イラストレーターやデザイナーの助けになりそう!」という前向きな意見が確かにありました。
実際、AIに背景の素材を出力させて活用している漫画家さんなんかも居ますし、完全な悪という訳ではないはず。嫌い!とただ突っぱねるだけではなく、こちらから歩み寄ることも大切なはずです… 歩み寄った結果嫌いなら、もうどうしようもありませんが。
とにかく、利用するだけしてみることにしました。
今回はこちらの「Palettable」というサイトを活用します。
調べてみると、AIを使ったカラーパレットサイトはすでにいくつか存在しているようですが、今回このサイトを選んだ理由はいくつかあります。
これはiPadの操作画面ですが、まず自分で「どうしてもこの色が使いたい!」という色があれば、カラーコードで指定することが可能です。
あとは下の「Dislike (却下)」「Like (決定)」ボタンを押すことで、AIが自動で合う色をいくつか表示してくれます。便利すぎる。こんなサイトが無料で使えていいんでしょうか。
そんなPalettableを用いて、最終的に出来上がったものがこちらです。
かわいすぎる
くすみ系の色ってこんなにかわいかったんだ…
いつもイラストや美術の先生に「原色を使うな!!」と怒られていたのですが、その意味がようやくわかった気がします。その度に「目に痛いくらいの色のほうがかわいいだろ何言ってんだ?」と思っていましたが、こうしてみると確かに… なかなかどうしてかわいいじゃあないですか!!!
感想
今回の目的である「アクセント」を用いたイラストとしても成り立っていて、今回はかなり実りのある結果になりました。AIに対する苦手意識も、少しだけ無くなったような気がします。
白に白を塗らなくても白に見える、というのが今回一番驚きました。
過去にも自分の色使いのセンスの無さをなんとかしようとTwitterでバズっている絵の色分析をしていたことがあるのですが、そのとき肌の色が暖色で塗られていなかったことを思い出しました。
これからも精進していきたいと思います。本当に。
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